市販緑茶を直接摂取することの検討の一部として, 3週齢のウィスター系雄ラットを, 対照, 緑茶粉末1%および5%の3区に分けて28週間飼育し, 25週目の4日間に出納試験を行い, あわせて解剖時に摘出した骨の重量およびミネラル含量からその影響を考察した.結果は以下のとおりである. (1) 飼料摂取量は1%区が他の2区より有意に高いが, 増加体重および飼料効率は3区間に差がない. (2) 糞量は対照区>1%区>5%区の順で有意に低くなり, 尿量は3区間に有意差が認められない. (3) 見かけの固形分消化吸収率は対照区<1%区<5%区の順で有意に高くなり, 粗タンパク質, 粗脂肪消化吸収率は5%区が, 粗灰分消化吸収率は対照区が他の2区に比べて有意に低い.IDFは対照区<1%区<5%区の順で有意差が認められた. (4) 窒素出納では体内保留量, 保留率とも3区間に有意差が認められない. (5) ミネラル出納では1%区のカルシウム, マグネシウム体内保留量, 保留率が対照区に比べ有意に高い.リンの出納は3区間に有意差が認められない. (6) 脱脂乾燥骨重量は3区間に差が認められない.分析値では, 5%区の粗灰分とマグネシウムが有意に高いが, カルシウム, リン, そしてカルシウムに対するマグネシウムとリンの割合には有意差が認められない. 以上, ラットにおける出納試験および骨の分析結果からみても, 緑茶の直接摂取がラットの生体機能を損なうことはないと考えられる.