1984年に著者らは, 津守・稲毛式乳幼児精神発達質問紙を用い, 保育所乳児たちが「探索・操作」領域を除いた他は順調な精神発達過程を示していることを報告した. 本研究においては, 保育所乳児の発達の推移を, さらに詳しく調べるために, 作業法課題に特徴を有するK式発達検査を, 47名の乳児 (大阪府下の三つの保育所に生後6ヵ月未満で入所した子ども) に試み, 検討した. なお, 発達の評価は1983年から1985年の間に4回おこなった. 結果の概要は次のとおりである. 1) 保育所乳児は姿勢・運動発達に関して順調な推移を示した. 2) 6ヵ月から12ヵ月の乳児は「探索」項目に低い数値を示した. 3) 総じて, 18ヵ月以上の乳児は良好な結果であった.彼らはとくに「認知・適応」領域に能力を示した.当初低い数値を示した乳児たちは, 15ヵ月以降上昇しはじめた. 以上の結果から, 保育所保母が, 12ヵ月未満の乳児たちの発達上の要求に対して感受性と応答性を高めるようとくに努力する必要があることが考察された.