ラッキョウを2年間, 塩漬け, 直接漬け (塩漬けしないで直接甘酢漬けしたもの), または塩漬け後甘酢漬けしたときの軟化とペクチン質の変化について検討した.生ラッキョウ100gから分別抽出した希塩酸可溶性ペクチン (PA), 酢酸塩緩衝液可溶性ペクチン (PB), ヘキサメタリン酸ナトリウム溶液可溶性ペクチン (PC) 中のガラクツロン酸量はおのおの40.9,492.1,137.0mgであった.生ラッキョウ中のPA, PB, PCのエステル化度はおのおの48.1, 24.4, 32.4%であった.塩漬けラッキョウおよび直接漬けは, 6カ月間貯蔵後に相当硬さを保持していた.しかし, 1年後には急速に軟化した.ラッキョウの硬さとラッキョウ中に残存したウロン酸の量は, 塩漬けラッキョウ>直接漬け>塩漬け後甘酢漬けの順であった.ラッキョウ漬けの硬さと細胞壁からのペクチン質の溶出の間に相関がみられた.貯蔵中にPBが増加し, PAが減少した.また, PA, PB, PCのエステル化度が減少した.PA, PCのDEAE-セルロースカラムクロマトグラフィーおよびゲルろ過による溶出パターンは貯蔵中に変化した.とくに塩漬け後甘酢漬けしたものの変化が著しかった.ラッキョウのペクチン質のおもな中性糖組成はガラクトースであり, 貯蔵中に中性糖組成の大きな変化はみられなかった.