家庭で日常用いられている, 市販アルミニウム箔から金属アルミニウムが溶出することがあるのか, 実験を行った.まず, 市販アルミニウム箔で蓋付きカップを作り, おのおののカップに蒸留水および0.3, 0.5, 1%クエン酸水溶液と, それらに0.5%濃度または1%濃度の塩化ナトリウムを加えた水溶液を5mlずつ注入した.これらを1~20分間室温放置または加熱したのち, 試料溶液中のアルミニウム溶存量を原子吸光法で測定し, 次のような結果が得られた. (1) 蒸留水および0.3, 0.5, 1%クエン酸水溶液を室温に放置しておいても, アルミ箔からアルミニウムが溶出する.また溶出量は蒸留水よりクエン酸水溶液のほうが多いことがわかった. (2) 蒸留水および0.3, 0.5, 1%クエン酸水溶液を加熱すると, アルミニウム溶出量は室温放置より著しく高い値を示した.また加熱時間とともに溶出量は増加することがわかった. (3) 蒸留水および各クエン酸水溶液に, 0.5%または1%濃度の塩化ナトリウムを加えて加熱すると, 10分以上の加熱では明らかに塩化ナトリウムを添加したもののほうが添加しなかったものより, アルミニウム溶出量は多くなることがわかった.さらに, 0.5%より1%塩化ナトリウム添加のほうが高い値を示した.