前報において, 各種の服装を60個の用語を用いて評定し, その結果の多次元尺度分析によって服装評価の3次元「派手/地味」, 「カジュアル/フォーマル」, 「上品/下品」を抽出した.本研究では, これらの次元の解釈の妥当性を検討するために, 各評価用語の各意味尺度上での評定平均値を従属変数として用い, 多次元尺度分析の結果得ていた各評価用語の1~3次元座標値を説明変数として重回帰分析を行った.その結果, 得られた各意味尺度軸を3次元空間に写像して各次元のもつ意味を考察した. 重相関係数はいずれの意味尺度についても高く, 各意味尺度が用語の布置の座標によく当てはまっており, また, 各意味尺度軸は該当する次元軸に近接して写像され, 前報の次元の解釈が妥当であったことが示された. また, これらの意味尺度軸は直交せず, 「派手」側, 「カジュアル」側, 「下品」側が互いに接近した斜交軸を与えた.この服装評価軸の斜交は, 服装評価において, 「派手」と評価される服装は同時に「カジュアル」, 「下品」とも評価される傾向があることを示しており, 服装評価の実際をより正確に表現しているといえる.