1回の食味供試点数を10点とし, 食味試験の経験を有するパネル員13人の食味官能試験方法による各検定者の識別能力や全体との一致性の精度を解析することによって, 食味評価の実態を明らかにした. (1) 全体の食味・評価値による分散分析の結果, くり返し間の分散は総合評価, 外観, 味, 粘り, 硬さのいずれも小さかった.総合評価の品種間差は有意であった. (2) 食味の品種間差を識別する能力の高いパネル員は評価も全体の傾向と一致する傾向にあり, 識別能力の低いパネル員は評価が全体の傾向と一致せず, 識別能力は高いが評価は全体の傾向と一致しないパネル員は認められなかった. (3) 識別能力があると判定されたパネル員は今回の場合全体の約70%であった. (4) 1回の食味供試点数を10点とし, しかも基準よりもパネル員の数を減らした場合でも, あらかじめパネル能力を保証しておけばこの試験方法でも大きな支障はないと考えられた.