1909年から1989年までに発行されたアメリカ家政学会誌Journal of Home EconomicsとHome EconomicsResearch Journalに掲載された論文等のうち, 今日的大分類によるところのResearch, Articlesに属するいわゆる研究論文5,765本を対象に年代別・領域別の分析を行った結果, 以下の諸点が明らかとなった. (1) 対象論文の年代別論文数についてみると, 1920~1930年代の論文数がとくに少なく, 1940~1970年代の論文数が相対的に多い.論文数がもっとも多いのは, 第二次世界大戦を含む1940年代である. (2) 領域別論文数の時系列的推移についてみると, 論文数が時系列を追って安定的に推移しているのは, 家政学の本質にかかわる家政学原論や家庭経営学・家庭管理学および総合であり, 減少傾向を示しているのは, 初期の論文数が非常に多い食物学と家政教育学である.その他の領域についてはいずれも論文数の時系列的増大傾向が認められるが, とくに増大の割合が高いのは初期の論文数がきわめて少ない家族関係である.また家庭経済学や被服学は年代間の格差が大きく, 児童学や住居学は社会的背景とのかかわりから特定の年代における論文数が突出して多いという特徴をもつ. (3) 領域別論文構成比の時系列的推移の特徴は, 初期の極端な食物学・家政教育学偏重のパターンから, 近年の10領域問のバランスが比較的整っているパターンへの変化の過程にみることができる.すなわち, 家政学生成期における食物学と家政教育学への極端な構成比の偏りは時系列を追って小さくなるのであるが, これに伴い, 1930年代あたりには家政学原論や家庭経済学の構成比が高くなり, 1940年代から1980年代に至る間に, 総合や被服学, 家庭経営学・家庭管理学等が順次その相対的な割合を増大させる.また, 初期において非常に構成比の低かった家族関係および児童学も時系列を追って構成比を高める.他方, 家政教育学は構成比を低下させながらも, 時系列を通して常に10領域中1位または2位を維持しつづけている.結果として, 近年の研究論文は, 家政教育学を中心に多領域のバランスよく分散するようになってきている. (4) 領域別論文構成比の年代間の類似性に基づいて, 年代の区分を試みると, 1910~1930年代は食物学・家政教育学偏重型の家政学形成期, 1950~1980年代は家政学原論, 家庭経営学・家庭管理学, 家庭経済学, 食物学, 被服学, 家政教育学, 総合等の多領域充実型の家政学成熟期としてとらえることができる.また, 1940年代は家政学の形成期から成熟期に至る移行期として位置付けられる.