前報に続き, 家事サービス利用要因としての家政的生活意識に着目するとともに, サービス利用の対象を食生活関連サービスに焦点化し, 家政的生活意識因子と家事サービス因子の相関分析を試みた結果は以下に要約される. (1) 主因子法による因子分析の結果, 生活意識では10因子, 家事サービス利用では8因子が抽出された. (2) 平均因子得点による属性別生活意識パターンの比較においては, 高年齢群の食事手づくり志向および家事合理化志向の高さ, 中年齢群の性別分業肯定志向の低さ, 勤務者群の職業重視志向の高さおよび経済性重視志向の低さなどが新たに認められた. (3) 同様に家事サービス利用パターンの比較においては, 高年齢群のそうざい利用, 夫婦のみ世帯のレトルト食品利用, および無職群の外食・出前利用の高さなどが新たに認められた. (4) 生活意識と家事サービスの因子間相関においては, (1) 食事手づくり志向によるインスタント・冷凍献立食品およびそうざい利用抑制の共通性がきわめて高いこと, (2) 性別分業肯定志向による外食・出前利用促進が新たなライフスタイルを象徴する生活行動として定着していること, (3) 家事合理化志向に含まれる進歩的合理化および保守的家事遂行の2つの意識がそれぞれに利用促進および利用抑制にかかわることなどが明らかとなった. (5) クラスター分析により, 家事サービス利用抑制要因として食事手づくり志向, 利用促進要因として性別分業肯定志向・男女協力志向・家事手抜き志向・経済性重視志向・家事合理化志向の5因子を特定できるとともに, 家族生活重視志向・計画的消費志向・生活充実志向・職業重視志向の4因子を補助的利用要因として位置づけることができた. (6) 各要因が家事サービス利用におよぼす影響度は, 食事手づくり志向が最も高く, つぎに家事合理化志向が続き, さらに性別分業肯定志向・男女協力志向・家事手抜き志向・経済性重視志向が並列に位置つくことが明らかとなった. 以上, 既報との比較において家事サービスの伸びが著しい事実に基づき, 属性との関連において利用促進および利用抑制要因を特定することができ, 利用構造をより鮮明に捉えることができたと考える.ライフスタイルの多様化を反映し, 利用抑制構造に比較し利用促進構造が複雑化している実態が明らかであり, 今後の利用予測においてはライフスタイルを軸とした分析が有効となると思われる.