塩化鉄 (II) 溶液と食塩溶液を用いる大豆の新しい浸漬軟化方法について, Fe2+の作用の特異性を明らかにするための実験を行い, 以下の結果を得た. (1) 試験した金属イオンの中で, Fe2+のみが食塩との組み合わせで強い軟化作用を示した. (2) 煮豆の軟化は, 塩化鉄 (II) 溶液への浸漬が食塩溶液浸漬に先行するか少なくとも同時であるとき, もっとも大きかった. (3) 塩溶液への浸漬は大豆の吸水が進行した後で行うより吸水過程の初期に行う方が効果があった. (4) 塩化鉄 (II) 溶液への浸漬あるいはそれに続く食塩溶液への浸漬によって, 大豆からのCa2+の溶出がとくに促進されることはなかった.