代表的な豆臭成分である n -ヘキサナールは, 大豆抽出液中においてはアルコールデヒドロゲナーゼの作用により n -ヘキサノールに還元される.本研究では本酵素反応の他のアルデヒドに対する基質特異性及び本反応に対する補酵素 (NADH, NAD+) の作用機構について検討した.大豆抽出液に種々の脂肪族アルデヒド (炭素数3~9) を添加し37℃でインキュベートし, 生成したアルコールを定量した.本酵素反応の基質特異性は広く, 各アルデヒドに対する相対活性は, アルデヒドの炭素数が増えるにつれ減少した (炭素数3>4>5>6>7>9>8).また, これらの反応はNADHのみならず, NAD+添加によっても促進された.大豆抽出液とNAD+をインキュベートすると, NADHは生成したが, 加熱処理 (100℃, 5分間) した大豆抽出液では, NADHの生成はみられなかった.このことから, 大豆抽出液中にはNAD+をNADHに変換する酵素系が存在することが示唆された.