1990年調査における研究の目的は, 現在の生活実態が将来の生活内容を規定するという観点から, 生活設計に関わる意識を明らかにし, 生活行動と生活様式の時間的実態を生活時間調査によって把握し, 意識と実態のずれや今後の生活設計上の課題を明確にすることである. 本調査の対象は世田谷区在住者260名であり, 結果は次のようである. (1) 従来の調査結果と比較すれば, 夫も妻も家事時間が短く, 社会的・文化的生活時間にかなりつかわれているが, その中でのテレビ視聴が長い. (2) 生活設計に関心をもっているが, 生活行動時間にはそれほど現われてはいない. (3) 生活の合理化はされているが, 性別役割分業観に基づく生活行動様式が明確に残っている.これらは高齢期の生活に引き継がれ影響していくものと考えられる.