愛玉子ゲルのテクスチャープロフィルを明確にすることを目的として, 機器測定および官能検査を行い, ステップワイズ判別分析および数量化理論第豆類により解析し, LMペクチンゲル, ゼラチンゲル, κ-カラギーナンゲル, 寒天ゲルと比較検討した. (1) 各種ゲルのテクスチャー特性値から, 愛玉子ゲルは凝集性が大きく, 付着性, 弾力性, 粘りが小さく, LM ペクチンゲルはすべての特性億で大きい値を示した.ゼラチンゲルは凝集性が大きく, κ-カラギーナンゲルと寒天ゲルは凝集性が小さいゲルであった. カードメーターの測定では, 硬さおよびゼリー強度とも, 愛玉子ゲル, LMペクチンゲル, ゼラチンゲルが小さく, κ-カラギーナンゲルと寒天ゲルは大きい値を示した. 破断特性値から愛玉子ゲル, LMペクチンゲル, ゼラチンゲルはみかけの破断ひずみとみかけの破断エネルギーが大きく, くずれにくい強固なゲルであることが示され, κ-カラギーナンゲルと寒天ゲルの値は小さく, くずれやすいゲルであることが認められた. 10項目の機器測定値を用いてステップワイズ分析を行ったところ, 正準変量により, 愛玉子ゲル, LMペクチンゲルおよびゼラチンゲルのグループとκ-カラギーナンゲルと寒天ゲルのグループに分けられた.また, 愛玉子ゲルはLMペクチンゲルと近似したテクスチャーであることが認められた. (2) 官能検査によって, 愛玉子ゲルはかたく, こしがあり, ロどけが悪く, LMペクチンゲルは付着性があり, ゼラチンゲルは口どけがよく, κ-カラギーナンゲルは歯切れがよく, 寒天ゲルはくずれやすいゲルであることが示された. 数量化理論第II類を用いて判別分析をした結果, 判別値によってグループ分けが可能であった.愛玉子ゲルと寒天ゲルは両端に離れた位置付けであり, その間に LMペクチンゲルタゼラチンゲル, κ-カラギーナンゲルが位置し, 愛玉子ゲルはLMペクチンゲルと近似していた.また, 判別に対する寄与が大きい因子は「こし」であった.