上腕部形態および腕付根部形状と体幹部および上肢部との関わりを調べるため, 正準相関分析を行った。その結果, 青年女子においては, 第1正準変量へ貢献の大きい項目は, 周径に関する項目で, 第2正準変量については, 丈および縦方向の長さの項目であったが, 高齢女子についてはさまざまな項目が抽出され, 青年女子のような関係は捉えられなかった. さらに, 上腕部, 腕付根部それぞれの計測値を因子分析し, 得られた因子得点からクラスター分析し, 上腕部形態を青年女子は7, 高齢女子は5のクラスターに分類した.青年女子, 高齢女子ともに上腕部が全体に小さい形態のクラスターがそれぞれ30.8%, 30.4%で出現した.青年女子では, 上腕部の腋点より上部の縦方向の長さの因子の大きいクラスターが41.4%であることに対して, 高齢女子では上腕部の腋点より下部の縦方向の長さの因子の大きいクラスターが41.3%であった. 腕付根部形状のクラスターはその形状のトレースとの比較から検討したところ, 青年女子では標準的なクラスター, 腕付根部前部の腋点より上部の長さを表す因子が小さいクラスター, 腕付根部後部の腋点より上部の長さを表す因子が小さいクラスターが全体の46.1%であり, 高齢女子では青年女子と比較して, 腋点位の幅が腕付根部形状の上部の幅より広いクラスター, また, 縦方向に長い腕付根部形状をしているクラスターが多く, 青年女子との違いが明らかになった.これらのことから, 身頃と袖の設計における問題点を2, 3考察できた.