炊き込み飯の炊飯における基礎的実験として, 浸漬条件の異なる米飯について調味料浸透状態や性状の検討を行った.結果を以下に要約する. (1) 調味液浸漬法は水浸漬法に比べ吸水が遅れ, 浸漬中溶出固形分量は少なかった.このことが加熱の際の炊飯液の挙動に影響を与えていると思われ, 調味液浸漬法による飯の炊き上がり重量は多かった. (2) 光沢計による飯のつやの測定値は調味液浸漬法では高い傾向となり, 水ひきの悪い飯であると思われた. (3) 調味料の浸透状態は調味液浸漬法の飯は, 塩分が飯粒周辺部に比較的多くとどまっていると考えられた.また, 浸漬時間が短いほどこの傾向は強かった. (4) 官能検査において, 塩分1%調味液浸漬0.5時間の飯はかたく, 粘りが弱いと評価されたが, 浸漬時間の延長または減塩によって, 好ましいテクスチャーの飯となった. (5) 飯の粘弾性測定において, クリープコンプライアンスから, 官能検査と同様の結果が得られ, 浸漬時間の延長, 減塩などの操作によって, テクスチャーが改善されることが確認できた.