しょうゆを加熱 (煮る) した時の変異原活性の変化とショ糖添加について検討した結果を要約すると次のようになる. (1) 加熱試料7分はTA100, S9非存在下で320His+ revertantsと塩基置換型の変異原活性を示し, この活性は未加熱試料の1.8倍であった.更に加熱し, 焙焼状態に移行し生成したタール試料9分はTA98, S9存在下で2489 His+ revertantsとフレームシフト型の高い活性が認められた. (2) しょうゆのみの加熱時の加熱試料5, 7分で示されたTA100, S9存在下の活性は10%ショ糖添加により, それぞれ28, 25%抑制された. タール試料9分で認められたTA98, S9存在下の高い活性は, 10%ショ糖添加により100%抑制された. (3) タール試料9分で認められたTA98, S9存在下の高い変異原活性は, 試料溶液に対してショ糖2%添加では抑制効果は認められず, 5%添加で活性は約30%低下し, 10%以上添加ではその活性は100%抑制された. (4) 10%ショ糖液を加熱し焙焼状態に移行した9分のタール試料でTA100, S9存在下で2428His+ revertants, TA100, S9非存在下で803と高い変異原活性を示した. この活性はしょうゆとともに加熱することにより, TA100, S9存在下では71%, TA100, S9非存在下25%に低下した.