単一脂肪酸トリアシルグリセロール分子種および食用油脂を用いて, 食用油脂の分子構造と揚げ特性 (吸油量, 脱水量, 油切れ) との関係について検討した.構成脂肪酸の炭素数が多い油脂ほど, 揚げ調理初期における吸油量および脱水量の増加が遅い傾向にあった.しかし, 最大吸油量および最大脱水量は構成脂肪酸の炭素数にかかわらずほば同じであった.一方, 油切れは固体脂と液体油の二つのグループに大別された.固体脂の場合, 油切れの量は融点が低いほど多く, 液体油の場合, 油切れ速度は粘度が低いほど高い傾向がみられた.以上の結果から, 食用油脂の分子構造が揚げ特性に影響していることが明らかとなった.