高血圧自然発症ラット (SHR) において2種の紅麹菌 [ Monascus pilosus (MP), M. ankar (MA)] の麹抽出物とMAの産生色素 (MAP) が血圧, 各種陽イオンの出納, 血漿コレステロールレベルにどのような変化を及ばすかを比較検討した. 1) 対照群のラットの血圧は急激に上昇したが, 紅麹抽出物は検討した2菌種では紅麹換算で0.03%相当の添加により, いずれもSHRの血圧上昇を飼育10日目あるいは15日目で有意に抑調した. MAPはそのような効果は示さなかった. 2) 血漿のNa/K比はMPとMA両群で低下した. 血圧とNa/K比との相関が得られた. しかし, ミネラルバランスには有意差がなかった. 3) 1%MAP群ではミネラル (Na, K, Ca, Mg, Cu, Fe) の糞中排泄量が増えたが, 0.1%ではそのような現象は認められなかった. 4) 血漿総コレステロール値は紅麹2種と色素添加により低下した. 以上, 紅麹抽出物はSHRの血圧, 血漿コレステロールレベルを改善し, そのメカニズムの一端は, 尿中Na量の排泄増加に伴う血中Na/K比の改善によるものと推定された.