米粒内部の脂質および添加脂質, それぞれが米飯の老化に及ぼす影響について米飯保存後 (5℃) のテクスチャーの変化から, また, 澱粉とトリグリセリドとの複合体形成について澱粉糊化時の水に対する溶解性の面から, それぞれ検討を行い, 次の結果を得た. (1) 米粒内部の脂質が存在すると, 保存後の米飯の硬さの上昇, 凝集性および付着性の低下, それぞれが抑えられていた.また, 炊飯時にオリーブ油を添加した場合には, 保存後の米飯の硬さの上昇および凝集性の低下を抑制していたが, 官能検査ではこれらの差は認められなかった. (2) 米澱粉から脂質が除かれると, 糊化時の水可溶性多糖量は非常に増加した.そして, 脱脂米澱粉糊化時の水可溶性多糖量は, パルミチン酸の添加量が増すに従い減少したが, 添加量が1.2%以上では一定となった.また, 脱脂米澱粉にトリパルミチンを添加した時の水可溶性多糖量は, 同量のパルミチン酸添加時の場合と比較すると, 約1/3の減少度であった.