生鮮食品としてのマガキの鮮度を鋭敏に反映する定量的な手法を開発した.本法は, マガキより切り取ったエラの小片を用いるもので, 0.0035%メチレンブルーを含む人工海水中で流動パラフィンで空気と遮断した反応条件下で行う.しかも, エラ繊毛運動によるメチレンブルーの青色の退色過程を分光用セル中で直接測定することにより, マガキの『鮮度』を簡便に定量化することができた.本法の有効性を確認すべく, 鮮度とマガキエラ繊毛運動性および繊毛運動性とメチレンブルーの退色反応性について, 分光学的手法およびビデオ顕微鏡を用いた詳細な検討を行った. 本法は測定手順の簡易性の故に, 生産者から消費者の各流通段階における簡便でかつ精度の高いマガキの鮮度判定法と成り得ることが期待される, 例えば, 0.00035%メチレンブルーを含む人工海水をA液とし, 流動パラフィンをB液とする.このA液にマガキから切り取ったエラの小片を入れB液をA液に重層した後, 反応液の青色の退色度から鮮度を判定する等の方法が考えられる.