煮熟野菜の軟化に及ぼす陽イオン (ナトリウム, マグネシウム, カルシウム) と陰イオン (酢酸, 硫酸, 塩化物) の影響を検討するために, ダイコンの円盤を9種類の塩溶液中で煮熟した.塩濃度が増すに従って塩化カルシウム (10~1,000mM), 硫酸カルシウム (0.1~0.25mM) では硬化し, 反対にその他の塩類では軟化した.以下の0.2M溶液中で煮熟したとき, 組織中に残存したペクチン質量は, 酢酸ナトリウム<硫酸ナトリウム<食塩, 酢酸マグネシウム, 酢酸カルシウム<硫酸マグネシウム<塩化マグネシウム<蒸留水<硫酸カルシウム<塩化カルシウムの順に多かった.煮熟後の円盤の硬さとペクチン質の残存量の間に相関があった.円盤が柔らかいほど, 組織中の水溶性ペクチンが多く, 反対に希塩酸可溶性ペクチンや酢酸塩緩衝液可溶性ペクチンが少なかった.円盤の硬さへの陽イオンの影響は, Na+