愛玉子水溶性多糖の利用性の向上を目的としてゲルの脆弱性の要因について検討した. 愛玉子水抽出液の分子量分布は, 保存時間が長くなるに従いピークが低分子側にシフトした.愛玉子水抽出液中の還元糖量および遊離メタノール量を測定した結果, ペクチンエステラーゼによって低メトキシル化が進行し, ポリガラクチュロナーゼの働きが誘導されることが示唆された.クライオSEMによる観察では, 愛玉子ゲルは保存時間が長くなるに従いルーズな網目構造になることが示された.愛玉子ゲルの融解温度は試料濃度が高くなるに従い上昇し, 一般に利用されている4%では59.0℃であった.凍結・解凍に伴う離漿率は, 愛玉子ゲルはLMペクチンゲルに比べて著しく高かった. 以上のことから, 愛玉子ゲルは内在しているペクチン分解酵素ポリガラクチュロナーゼの作用によって脆弱化するものと考えられた.また, 凍結に対しては極めて弱いゲルであった.