1) 炊飯米の物性や官能評価から, 水道水を電気分解して得た電解水 (pH3-11) が炊飯米の性状にほとんど影響を与えないことを明らかにし, その原因を考察した. 2) 炊飯米の物性のうち, 色硬さ, 付着性を指標とすると電解水炊飯米は原水での炊飯米とほとんど差がなく, 官能評価ではむしろ電解水炊飯米の評価は低い傾向を示した. 3) その原因を追究するため浸漬時の水の性状や米の水分含量を調べたが, 電解水によって浸漬中の米の水分含量や水の動きは若干異なっていたものの炊飯開始と思われる時間までには米の水分含量やpHはどの電解水でもほとんど一定の値を示していた. 4) これらのことから, 米粒の緩衝作用や炊くという調理過程により電解水の性状の違いが炊飯米の物性や官能評価には影響しにくいことが明らかになった.したがつて, 電解水を調理に使用して食物の性状に付加価値を与えるには食物のもつ緩衝能や調理手段を十分考慮することが必要であることが示された.