収穫直後と, これをブランチングした後に3カ月間家庭用の冷凍庫で冷凍保存した枝豆, ブランチングしないで同じ条件で冷凍した枝豆を試料とし, 枝豆の冷凍保存による香気劣化のメカニズムと, 冷凍保存の際のブランチングの効果について, 個々の香気成分の変化を中心に検討した.枝豆の香気濃縮物はSDE法によって調製し, GCおよびGC-MS分析をして香気成分の分離同定を行い, 内部標準法によって各成分の濃度を測定した.収穫直後の枝豆とブランチングして3カ月冷凍保存をした枝豆から検出された香気成分や各成分の濃度に大きな差はなかったが, ブランチングしないで冷凍保存した枝豆では大豆不快臭の原因物質であるhexanal, ( E ) -2-hexenal, 1-hexanol, 1-octen-3-olの生成が著しかった.また, 評点法による官能検査の結果からも, 香りに関して5%の危険率で有意にブランチングしない枝豆の評価が低かった.これは枝豆の不飽和脂肪酸が長期間の冷凍中にリポキシゲナーゼやハイドロパーオキサイドリアーゼによって酸化, 分解され, 大豆不快臭成分が形成されたためと判断された.したがって, 枝豆の冷凍保存の際の前処理としてのブランチングは枝豆本来の香りの保持に効果的であることが確認された.