小麦グルテンをアクチナーゼにより水解後, 脱アミド処理して得られた分子量500-1,000画分のペプチドを用いて甘味, 塩味, 酸味, 苦味, うま味の五つの基本味への影響を調べた. ペプチド画分は塩味の強さには影響を及ぼさなかったが, うま味を増強し, 酸味, 苦味の強度を抑制することが明らかとなった.甘味の強さを有意に強めないが持続性を高める効果が認められた.ペプチド画分の呈味効果のうち酸味と苦味はペプチド画分の添加によって閾値が上昇し, それぞれの味を感じにくくなっていると推定された.また, うま味は閾値が低下し, うま味を増強していると推察された.さらに, ペプチド画分の添加による酸味強度の抑制にはペプチド画分の緩衝能も貢献していることが判明した.