『東京都中央卸売市場年報』を資料とし, モデルとして選んだ少量消費野菜24品目の16年間の入荷の概況と時系列変動分析結果から, 需要の傾向と調理特性との関連が見出せたので要約する. 1) 24品目の16年間の入荷数量は, 年当たり104-107kgで, 全野菜平均に比べ, 需要の少ないことが明らかとなった.また, 比価は全野菜平均と比べ高いことが確認された. 2) 24品目の近16年間の数量伸長率は全野菜平均と変わらず, 全体としては需要は飽和に達しているものと思われる.しかし, 個別品目でみると変化の大きなものもみられた. 3) 16年間の変動の範囲内では, 対象品目に季節の需要が認められた. 4) 24品目は季節変動要因寄与率の顕著なグループ, さらに残差変動要因寄与率も大きいグループ, そして傾向変動要因寄与率の大きなグループの三つに分けられた.それぞれのグループ内での利用上の特性が明らかとなった. 季節変動要因寄与率の高かった8品目は伝統的な和風料理様式との関連がみられた. 5) 残差変動要因寄与率の高かった10品目は, 調理における取扱いやすさ, 保存性, 油脂との相性の良さ, および各国料理への広範な利用の可能性などの特徴がみられた. 6) 傾向変動要因寄与率の高かった6品目は, 取扱いやすさと付け合せ野菜から食べる野菜へといった利用様式の変化が特徴的であった.