本研究では, 足長サイズが25.0の男性24名と23.0の女性38名を対象に, 足の外郭投影図と現在市販されている代表的な3種類の靴型 (N, M, W, 紳士靴では25EE, 婦人靴では23E) の外郭投影図とを重ね合わせて比較した.これらの比較は, 距離に関する14の計測項目と面積に関する12の計測項目に基づいて行った.得られた結果は以下の通りである. 1) 靴型の爪先部の形状が細くなるに従って, 爪先余裕長, 爪先余裕長I, および爪先余裕長IIの平均値が大きくなる傾向が男女ともに認められた. 2) 第1趾接点はみだし長, 第2趾接点はみだし長, 脛側中足点はみだし長, 腓側中足点はみだし長の平均値から, 男女とも足の第1趾および第5趾の接点が靴型よりも外側にはみ出しているといえる.さらに, 爪先部の形状がかなり太い靴型Wを除くと, これらのはみだし長については男性よりも女性のほうが大きく, 特に第1趾側の計測項目でこの傾向が顕著である. 3) 面積による比較において靴型による平均値に有意な差が認められた計測項目は, 男性では, 第1趾前部はみだし量と外踵部はみだし量, 女性では, 内爪先後部余裕, 外爪先後部余裕, 第1趾前部はみだし量, 第1趾後部はみだし量, 第3・4趾はみだし量であった.