本研究では, 日本人成人の中心足長サイズ, 男子25cm, 女子23cmにほぼ該当する男女10名ずつを対象に, 男子は0および25mm, 女子は0, 25, 45, 65および85mmの各ヒール高ごとに足型レプリカを作製した.それらを計測し, 比較することにより, ヒールの挙上に伴う足の計測値の変化について検討した。得られた結果は以下のとおりである. 1) 足軸と平行に測った長さ項目では, 男女とも0~25mmのヒール高の問では7項目中, 踵点-原点 (DL-1), 踵点-外果端点 (DL-2), 踵点-楔状骨点 (DL-4) が増加, 踵点-第5中足骨粗面点 (DL-3), 踵点-腓側中足点 (DL-5), 踵点-脛側中足点 (DL-6), 踵点一爪先先端 (DL-7) が減少した.女子の25mm以上のヒール高の間では0~25mmのヒール高の問で減少した4項目に加え, 踵点一楔状骨点 (DL-4) も減少した. 2) 高さ項目では, 男女ともヒールの挙上に伴う計測値の増加傾向がみられた. 3) 足輻は, ヒールの挙上に伴い, 男女とも減少し, 女子ではヒール高の差が45mm以上ある時に顕著な差がみられた. 4) 甲部と底部の表面長さ項目の増減傾向は, 互いに逆であった.すなわち, ヒールの挙上に伴い, 甲部においては, 踏付部より前部が短く後部が長くなったのに対し, 底部においては踏付部より前部が長く後部が短くなった. 5) 踵部の最後端突出点の位置は, ヒール挙上に伴い, 低くなった. 6) 足囲ボール部では足囲ボールの計測値には変化がみられないが, 中心線の内外で分けた場合, ヒールの挙上に伴い足囲ボールの内側長さは増加し, 外側長さは減少した.