阪神地域に在住する女子学生を対象に, 階層構造分析法を用いて, 街着を購入する店舗の選好を計量した.まず, 街着の購入店舗を評価する, 「有名メーカ・ブランド品がある」, 「多くのサイズが揃っている」, 「割安品を扱っている」, 「店員の適切なアドバイスがある」, 「多くのデザインが揃っている」, 「交通や時間の便がよい」の6項目と, 「百貨店」, 「量販店」, 「専門店」によるそれらの評価項目の充足度との関係を階層化して分析の枠組みとした.次に, 街着を購入する店舗を選定するとき, 6評価項目のうち, いずれを重視するかを一対比較法によって測定, さらに, 各評価項目に対していずれの店舗が充足していると思うかを併せて一対比較法を用いて測定した. 店舗を評価する6項目についての一対比較の結果, 整合性のある判定をした者は有効回答者中の60.8%であった.整合性のある判定をした者のみのデータを用いて6評価項目間の重視度の一対比較マトリックス, 各評価項目に対する充足度の店舗間の一対比較マトリックスの固有値, 固有ベクトル (ウェイト) を算出した. 街着購入店舗に対する各評価項目のウェイトに各評価項目の充足度に関する店舗のウェイトを乗じて店舗ごとのウェイトの積和を求めた結果, 百貨店, 量販店, 専門店の総合得点はそれぞれ0.40, 0.23, 0.36となった.この結果は, 別に測定したこれらの店舗の実際の利用頻度と一致しており, 街着の購入に際して, 女子学生が選好する店舗はFig.1に示した階層構造によって定量的に評価できることがわかった.