昭和40年度から62年度におけるビタミンA, B1, B2およびCの純食料からの供給量を, 初めて本報で算出した. 1) 国民一人1日当たりの各栄養素供給量を, 「国民栄養調査成績」から求めた摂取量と比較検討した.その結果, ビタミンA, B1, Cは供給量が摂取量を下回る調査年度があり, 前報のカルシウムと同様, ビタミン類もその供給状況が必ずしも飽和状態にあるとはいえないことが明らかになった. 2) 昭和62年度における各ビタミンの供給量, 摂取量を栄養所要量と比較して見ると, すべて所要量を上回っていた.しかし, ビタミンA, B2については充足度は低く, 調理上の損失などを考えると, ビタミンA, B2, そしてCも必ずしも純食料からの供給だけでは十分とはいえないと考えられた. 3) 純食料以外からの供給量については, ビタミンAとB1の付加量が大きかった.しかし, 現在正確な付加量の算出は困難であるため, 純食料以外からの栄養素供給状況の早期把握が望まれる. 4) 「食料需給表」には, 現在, 純食料から十分量が供給されているエネルギーと三大栄養素については述べられているが, 不足気味の微量栄養素については何等情報が載せられていない.十分な栄養素の摂取には, 必要にして分な栄養素の供給が望まれるため, 微量栄養素を含む供給状況の把握を行うことは重要である.そして基本的には純食料からの各栄養素の十分な供給をはかる方向で, 食料供給の質的改善を行う必要があると考える.