60℃で6時間加熱した熟成牛肉中のペプチドを分子量別に分画し, 各ペプチド画分の牛肉の呈味形成における役割を調べた. (1) 加熱した熟成牛肉中には分子量500以下 (I) のペプチドがもっとも多く生成していた. (2) 分子量500-1,000 (II), 1,000-10,000 (III) および10,000以上 (IV) の各画分を未熟成肉から調製された加熱エキスに添加した結果, (III) のペプチド画分が加熱エキスの酸味を抑制し, まろやかさを増強することが判明した. (3) (I) のペプチド画分も牛肉のまろやかさの増強に寄与していることが明らかとなった. (4) (I) のペプチド画分には酸性画分がもっとも多かった.また酸性ペプチドを構成するアミノ酸としてはグルタミン酸が多かった.