妻の就業が夫婦の家事分担にどのような影響を与え, 住まいにどの様な変容を促しているのかを明らかにしようと試み, 以下の結果を得た. (1) 妻が常勤であっても, 全家事時間の9割を妻が受け持ち, 全く家事をしない夫が多かった. (2) 就業形態にかかわらず, 妻の家事時間は起床在宅時間の約4割を占めていた. (3) 平日の在宅時間の短い常勤の妻はパートに比べて, 掃除や調理時間を短縮し, 育児に時問をかけている傾向がみられた. (4) 夫が分担する家事は, 育児が中心であった.夫の養育分担意識は高いが, 実際に行っている時間は少ない.また夫の家事参加は, 家族関係にプラスに作用していた. (5) 家事が行われる空間の第1位は台所で, 全家事時間の半分近くを占め, 次いで居間・食堂の順であった. (6) 居間では「個人的な行為」, 「家事」, 「人の存在を嫌う行為」など本来の目的以外の行為が持ち込まれ, 家事による居間空間の重層的利用がみられた.