先進国の中で, わが国の食料消費は, 総熱量が少なく, でんぷん質食品の比率が高い食品構成であるという特徴をもつ.わが国の食料消費の特徴が, 独自のものか, あるいは近隣の東アジア地域に共通してみられる特徴かを明らかにするために, 回帰分析とクラスター分析を用いて国際比較を行った. 分析の結果, 以下のことが明らかになった. 国民所得を独立変数, でんぷん質率を従属変数として回帰分析を行った結果, わが国だけでなく韓国と台湾を含めた東アジア3国の食料消費は他の国々とは別の特徴を示した. また, 各国の食品構成に関してクラスター分析を行った結果, 地理的, 文化的に近い国々が互いに融合しクラスターを生成しており, わが国が最初に融合した国は韓国であった.国際比較のうえでは, わが国の食料消費パターンは韓国のそれに最も近いものであるが, 同時に, その類似性はあまり高くないということも明らかになった. 以上のことから, わが国近隣の東アジア地域の食料消費は, 国際的にみて他の国々とは異なる共通した特徴をもっているが, それとともに, わが国は独自の食料消費パターンをもつものと結論づけることができよう. なお, 本研究の一部は (社) 日本家政学会第46回大会 (1994年) において発表した.