鉄欠乏性貧血ラットを用いて, 鉄鍋溶出物 (10%食酢液で溶出, 鉄2mg, 4mg/100g飼料) および硫酸第一鉄 (鉄2mg, 4mg/100g飼料) を4週間投与して貧血改善効果の比較実験を行い, 以下の結果を得た. (1) 鉄4mg/100g飼料4週間投与では, 両飼料群ともにHb, Ht, RBCおよびSI値は著しく増加し, 顕著な貧血改善効果を示した.しかし, 肝臓, 脾臓の鉄含量は両飼料群ともに対照群に比べて有意に低かった. (2) 鉄2mg/100g飼料4週間投与ではすべての血液値が4mg投与に比べて低値を示したが, 対照群に比べて硫酸第一鉄群のRBC値以外は有意差は認められなかった.しかし肝臓, 脾臓の鉄含量は両飼料群ともに著しく低かった. 以上の結果は, 10%食酢液で溶出した鉄鍋溶出物中の鉄は硫酸第一鉄と同等の高い生体利用性を示し, 貧血改善効果が優れていることを示唆するものである.