本報は, 1995年10月に行った東京都世田谷区在住の雇用労働者夫妻の生活時間調査を, ジェンダーロールを媒介に組織文化の視点から考察したものである. 組織文化におけるジェンダーロール支配の強弱は, 夫妻の生活時間に影響を与えていることが明らかにされた.この結果から, 次の2点が結論づけられた.夫妻の生活時間配分の偏向を是正するためには, (1) 組織文化のジェンダーロール変革がなされることが必要である, (2) 組織文化内のジェンダーロール変革と同時に個々人のジェンダーロール意識の変革が図られなければならない.