紅茶製造工程における茶葉の組織化学的変化を, 種々の染色を行い, 光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡により観察した. 茶葉の褐変は, 揉捻1時間頃から始まり, 発酵2時間で葉全体が褐色になった.褐変化は, 茶葉の表裏の表皮細胞から始まり, 柵状組織, 海綿状組織に及んだ. 揉捻の工程において構造の変化は, 海綿状組織において著しいことが光学顕微鏡およびSEMにおいて認められた. 鉄塩によるタンニン反応は生葉では表皮細胞を除くいずれの組織細胞内においても, タンニンの存在が認められた.しかし, 発酵1時間ではタンニンの消失と発酵による細胞内の変化は, 高重合核酸の消失と細胞質において並行して起こった.