冬暖かいとうたわれ, 脱脂綿を医療用ガーゼで包んだ, 3層構造の特殊シーツに着目し, 睡眠中の生理反応および寝床内気候に及ぼす影響を検討した.年齢20~26歳の健康な成人女性4名を対象に実験を行った.実験条件は, 特殊シーツ使用時 (条件P) と, 一般に普及している綿100%平織りシーツ使用時 (条件C) とした.寝室内は18~19℃, RH 50~55%に保った.終夜睡眠脳波記録, 直腸温, 皮膚温, 寝床内気候は連続測定し, 主観申告 (温冷感, 快適感, 湿潤感, 睡眠感) は入床時と起床時に, それぞれ申告してもらった.睡眠変数, および各睡眠段階の出現時間に有意差は見られなかった.条件Pでは, 大腿, 下腿, 足背, 胸の皮膚温上昇が速く条件Cよりも高いレベルを保つ傾向であった.胸の寝床内温度は, 条件 Pで有意に高かった.入床時, 起床時の快適感, 温冷感は条件Pで快適側, 暖かい側の傾向にあった.睡眠感は有意に条件Pで高かった.特殊シーツは, 睡眠構築および生理反応に影響を与えずに, 主観的睡眠感を良くすることが示唆された.