新合繊を対象として単繊維の太さ・形状の異なる 3種類のポリエステル布を用いて, 繊維基質の相違する汚染布の洗浄率の算出方法, 超極細繊維や異形断面繊維といった新素材繊維の汚染性および洗浄性について検討すると共に, 水を分散媒として天然汚垢布の平均的な分析値に準拠して作製したモデル汚垢成分を配合した汚染浴を用いて, 天然汚れと類似の洗浄挙動を示す洗浄力試験用のポリエステル湿式人工汚染布を提案しようと試み, 以下の結果を得た. (1) 従来の反射率の測定方法では, 台紙の反射率を約30%に統一したことから, 繊維基質の相違する人工汚染布では台紙の反射率の影響が異なり, 汚染布自体の反射率を測定することができない.そこで, 湊の方法を用いて台紙の影響を受けない汚染布自体の反射率を誘導し, この値から K/S 値を求め洗浄率を算出する方法を確立した. (2) 超極細繊維や異形断面繊維などの単繊維からなる新合繊は, 一般のポリエステル布に比較して, 汚れが付着しやすく落ちにくい傾向にあることを確認した. (3) 水を分散媒としてモデル汚垢成分を配合した汚染浴を用いて提案したポリエステル湿式人工汚染布は, 繊維基質の織り組織や繊維形態が異なっても表面反射率を40%前後に調整する事によって, 4種類の洗剤に対する顔垢汚染布の洗浄力評価結果と高い相関を示すことを確認した.