新品種のジャガイモ (紫色系, 紅色系および黄肉系) の食材への利用に関する一環として, アントシアニン, ビタミン C 量, 食物繊維などの特徴を検討した. 紫色系および紅色系ジャガイモのアントシアニンはpH の影響で色彩が変化し, 一般的なアントシアニンの性質を示した. 紅色系ジャガイモアントシアニンは耐熱性, 耐光性に優れ, 比較的安定とされるサッマイモ, 赤キャベツアントシアニンと同程度の安定性を示した. しかし, 紫色系ジャガイモアントシアニンは不安定な色素であることが示された. HPLC によるアントシアニンの分析では低温保蔵による色素構成比にさほど変化は見られなかった. E max UV/ E max VIS の結果から, 紅色系が紫色系より有機酸の結合したアシル化アントシアニン色素を多く含有し, このため紫色系より安定性に優れることが考えられた. また, 紫色系および紅色系のアントシアニンの主要色素は各々ペタニンおよびペラニンであった.全食物繊維量は男爵イモなどより少なく, 全ビタミン C 量は黄肉系が, 比較的高いものであった. アントシアニン含有量は紫色系, 紅色系, および黄肉系で100g 中に各々 142mg, 148mg, 17mg であった. また, 低温保蔵による遊離糖の増加が見られ, 紅色系および黄肉系で sucrose 量の増加が著しいものであった.