米の加温浸漬が米飯の品質に与える効果とその発現機序について検討した. 米を60℃で浸漬し, 米重量の1.6倍加水で炊飯すると, 米に内在する細胞壁分解酵素が胚乳細胞壁を部分的に加水分解するため, 浸漬過程ででんぷんが米粒外に流出しやすくなり, 炊飯過程ででんぷんの糊化・膨潤が促進されて, 米飯に粘りが増した. さらに, 米内在性酵素は胚乳細胞壁のほかに, でんぷんの低分子化にも寄与すると推定されるため, でんぷんの加水分解物が米飯に甘味を付与し, 官能的に好まれる米飯となった.