ナガイモ, イチョウイモ, ツクネイモの生イモおよび凍結試料の曳糸特性について, 濃度依存性と加熱による影響を検討した. (1) 濃度依存性は各試料濃度 (100, 50, 33, 25%) の各引っ張り速度 (0.5, 1.0, 5.0mm/s) における曳糸距離と曳糸エネルギーを測定した.生イモは, ナガイモの100%, イチョウイモ, ツクネイモの50%試料における引っ張り速度5.0mm/sでの曳糸距離が大きかった.凍結試料は, 各イモの引っ張り速度依存性は生イモと同様であったが曳糸距離は減少した. (2) 加熱操作がイモの曳糸性におよぼす影響を検討するため, 100%と50%試料について, 22, 40, 60, 70℃に加熱したイモの曳糸距離を測定した.生イモでは, 3種のイモはいずれも温度の上昇に伴い曳糸距離は減少した.特に100%試料, 70℃加熱における曳糸距離の減少が顕著であった, 凍結試料では, ナガイモ, イチョウイモは加熱による影響は生イモに比べて少なかったが, ツクネイモ100%試料の70℃加熱処理は伸びが観察されなかった. (3) 3種のイモの各濃度における曳糸に伴う最大応力および曳糸エネルギーは, 生イモではナガイモが小さく, 次いでイチョウイモであり, ツクネイモが最も大きかった.凍結試料はイチョウイモ100%試料が最も大きかった.