コントロール食群のラットを高酸素下 (95%O2) に3日間暴露すると, 肝臓中α-トコフェロール量は有意に減少したが, レチノール量は変化がなかった.ビタミンA欠乏食群においても高酸素暴露によるα-トコフェロール量の減少は同程度であった.高酸素暴露による肝臓のTBARS値と8-ヒドロキシデオキシグアノシン量 (脂質過酸化とDNAの酸化的障害の指標) の有意な増加は両群とも見られなかった. ビタミンA欠乏食群を低酸素下 (10.5%O2) に5日間暴露すると, 肝臓α-トコフェロール量の有意な低下が見られた.この低下はコントロール食群では観察されなかった.一方, コントロール食群ではレチノール量に減少傾向が観察された. β-カロテン添加食群では, 高酸素, 低酸素暴露ともに肝臓α-トコフェロール量に変化は見られず, 一方肝臓に蓄積したβ-カロテンの減少傾向が観察された.また, β-カロテン投与により肝臓中レチノール量の著しい増加が起こっていたが, 低酸素暴露によりその量の減少傾向が観察された.