種々の穀物抽出物の透析内液が示す生物・生理学的な性状について検討した.栗の透析内抽出物は, ヒアルロニダーゼ活性阻害効果を示した.また, 小麦の抽出物には, 強い活性酸素消去能とリノール酸に対する抗酸化活性を示した.ライ麦と小麦は, 培養動物細胞であるヒト-ヒトハイブリドーマ細胞 (HF10B4) とヒトマクロファージ様細胞 (U-M) の増殖を, 若干ではあるが促進した.一方, 他の穀物の抽出物は, 添加量に応じて, 増殖を抑制していた.さらにライ麦と小麦の抽出物は, HF10B4の免疫グロブリンMの産生を促進した.大麦の抽出物は, 腫瘍壊死因子の産生を若干ではあるが促進していた.これらの結果は, 穀類中に人体の恒常性を保つために役立つ何らかの機能物質が存在していることを示している.