家庭用軟水装置で処理した水および処理していない水道水で小豆あるいは大豆を加熱し, 性状を比較検討した実験結果から, 以下のことがまとめられる. でんぷんを多く含む小豆は, 調理目的によって仕上がり性状を調整する必要があるが, 餡に用いるような場合には, 加熱方法は常圧加熱, 加圧加熱いずれでも良く, 速く軟化させるには軟水を使用するのが望ましい.また, 豆の煮崩れを押さえ, しかも色よく仕上げる調理に用いる場合には, 加圧加熱方法で軟水を用いるのが好ましい. たんぱく質や脂質に富む大豆は, 加熱初期の段階では軟水を用いた方がやや軟化しやすい傾向はみられたものの, 水道水, 軟水による加熱大豆への顕著な差はみられなかった.このことは, 大豆に含まれるたんぱく質やカルシウムの浸漬や加熱による液への溶出率に大差がみられなかったことと一致する.また, 加熱大豆のいわゆる “生大豆的な硬さ” をなくしたい場合には, 加圧加熱方法でしかも軟水を用いることにより, 煮崩れの少ないふっくらとした加熱豆になることが示された.