高圧冷凍豆腐の解凍方法の違いによる品質の差異を検討するため, 木綿豆腐を約-20℃で90分間高圧冷凍し圧力解除後ただちに大気圧下で自然解凍したもの (A), および冷凍保存後大気圧下で自然解凍したもの (B), あるいは 160 分間高圧冷凍しただちに大気圧下で自然解凍したもの (C), 90分間高圧冷凍し高圧をかけたままで解凍した後圧力解除したもの (D) について, 物性 (破断強度解析) と微細構造 (クライオ-SEM 観察) を比較し, 以下の結論を得た. (1) A, B, C, D のどの場合も 200MPa (液相), 340MPa (氷III), 400MPa (氷V) で加圧冷凍したものが, 100MPa (氷I) または500MPa以上で加圧冷凍したものより良好な品質を保持していた. (2) 同じ圧力で処理した豆腐を比較すると, 圧力解除後ただちに解凍したもの (A, G) に比べ圧力解除後冷凍保存し解凍したもの (B) が氷結晶痕跡, 破断応力, 歪み率のいずれも最も大きかった.高圧解凍した豆腐 (D) は 200MPa (液相) ~500MPa (氷V) の処理の場合に氷結晶痕跡が超微細 (約10~16μm2) で物性値も未処理のものと大差なく良好な品質であった. 以上の結果から, 大気圧下で解凍した豆腐は, 圧力解除~冷凍保存時に氷 V→氷III→液相→氷Iへと相転移が起こり, 最後に氷Iとなり氷結晶が成長するため物性が悪化したことが明らかとなった.