急激に変化してきている食環境の中で, 学生の基本4味に対する味覚感度にどのような変化が生じているかを知る目的で, 都内の女子短大2年生を被検者として行った全口腔, 上昇系列法による基本4味に対する官能検査の結果を1980年から1985年群と, 1986年から1995年群とに分けて検討し, 以下の結果を得た. (1) 4味とも1980~1985年群と, 1986~1995年群間で味覚閾値に有意差は認められなかった. (2) しかし, 塩から味・苦味・甘味の味覚閾値は高くなる傾向が認められた.特に, 甘味については, 有意差は認められないものの, 1段階の構造変化を生じたといえるほど, 味覚閾値が高濃度に変化した.また, 酸味の味覚閾値は低くなる傾向にあると考えられる.