人間の生活はテクノロジーによって支えられてきた.エンジニアリングは, テクノロジーを体系化するための学問分野であり, 産業革命後, 知の体系が確立された.以来, 未知の領域の開拓・開発が驚異的に進められ, 多くの領域を包含する今日のエンジニアリングが形成された.様々な分野の独立した先端技術の拡大は必然的に学問の細分化を促した.1つの学問領域における最初の効果だけに主眼がおかれた結果, 相互関連のない個々のテクノロジーの量, 質の拡大とともに, 副次効果として環境に悪影響が与えられるようになった.すなわち環境の人工化の限界にきたといえる.そこで, エンジニアリングサイエンスにおけるこれらの細分化された学問を, 未知の領域を拡大する側面と, もう一方は, 環境との調和の上に知を再構築するという2側面から捉えることが必要である.先端技術の拡大のみの追究から, 個々の立場から離れ, 鳥瞰的・総合的な見方をすることが重要だというテクノロジーパラダイムの変換が, 持続可能な社会の創造のために今求められている.そして国際化は, 21世紀に向けて日本の役割を開発から循環に移すための大きな必要条件である.