納豆菌発酵によるビタミンK生産と, 納豆摂取時の同ビタミンの経時的な血中動態をHPLC法で定量した. 発酵中のビタミンKとして主に植物由来であるフィロキノン (K1), あるいはメナキノン-4の濃度に変化はなかったが, 納豆菌由来のメナキノン-7濃度が著しく高まること, 特にわが国の市販納豆で最もよく使われている3種類の納豆菌の中で宮城野菌で発酵したものが最も高濃度であり, その値は37℃, 24時間で1,750μgMK-7/100g湿重量を示した. 納豆5~100gの摂取でヒト血中のナメキノン-7濃度の上昇はdose-dependentであり (最高値は57.1±7.7ng/ml血漿), またその効果は長く, 48時間後でも摂取前の9倍以上のメナキノン-7濃度であった.一方, 今回の摂取量で血中の凝固-線溶系に変化は見られなかった.