服装に対するふさわしさ評定における個人差とその評定の個人内のあいまいさを検討した.50種の服装の中から, カジュアルからドレッシィにいたる4種の服装を選定し, これらの各服装の「コンビニエンスストアに買い物に行く」「大学で授業を受ける」「親戚を訪問する」「結婚の披露宴に出席する」の各場面におけるふさわしさの評定をファジィ尺度を用いて測定した. 各服装に対する個人内のあいまいさ (評定幅) は「カジュアル」あるいは「フォーマル」な場面で小さく, その中間の「ややカジュアル」「ややフォーマル」な場面で大きくなり, 評定が中庸のとき, あいまいさが増すことがわかった. 服装に対するふさわしさの個人間の評定差 (評定値の標準偏差値) は, 評定が明確なとき, すなわち, 「非常にふさわしい」あるいは「非常にふさわしくない」と評定される場合は小さく, ふさわしさの評定が中庸の場合に大きくなった.評定における個人内のあいまいさと個人差を比較したところ, 評定が明確なとき, 両者の大きさはあまり違わないが, 評定が中庸のとき, 個人内のあいまいさよりも個人差のほうが大きくなることがわかった.