シミュレーションを用いて, 居間を対象として室内に設置されたソファ, カーテン, クッションの色彩を被験者自身に選択させる彩色実験を行い, 室内装備要因による好まれる色彩の傾向を検討した.また, 併せて彩色実験と実態調査との比較を行った.結果を要約すると以下のとおりである. (1) ソファとクッションは選択された色彩の傾向が類似しており色相はY, YR, GYを選択するものが多かった.カーテンは選択基準がソファ, クッションと異なり, ソファ, クッションと比べて色相は多様な選択が見られ, 明度は高く, 彩度は低めの色彩が選択された. (2) 選択された装備要因間の色彩の関係を検討したところ, 壁面とソファは色相を比較的近いものにし, 明度, 彩度でアクセントをつけ, カーテンと他の要因問は色相でアクセントをつけ, ソファとクッションはできるだけ似通った色彩を使用する傾向が認められた. (3) 壁面の明度と装備要因の色彩との関係を検討したところ, 壁面の明度はカーテンの色相と明度に影響を及ぼすことが明らかとなった.