ハマチ筋肉の熱水抽出液をエタノール処理し, 処理前後でのpH, 呈味特性ならびに無機イオン, 遊離アミノ酸およびイノシン酸含量を比較した.熱水抽出液中の高分子化合物を限外濾過による方法で除去した場合には, pHの低下は認められなかったが, エタノール処理による方法ではpHの低下がみられた.官能検査の結果, 普通肉の熱水抽出液はエタノール処理により, 著しく酸味が強まり, 総合的な味の評価が低下した.これに対し血合肉の場合は, 酸味は少し強まるが, 総合的な評価はむしろ上昇した.エタノール処理によってPO43-およびMg2+の顕著な減少が認められたことから, これらの無機イオンの減少がpHの低下をもたらしていることが示唆された.エタノール処理により, 遊離アミノ酸含量にはあまり変化はみられなかったが, 呈味成分であるイノシン酸含量は幾分低下した.